03052-130320 被写界深度、ゼロ
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昨日の卒業式の合間、5号館に向かう3号館の南側で撮影したこの4枚の写真。
すべて絞りF2、シャッタースピード1/4000秒、ISO100。
こうして絞りを開けて(F値を小さくして)写すのが昔からshio.iconの好み。ふんわり写ります。「このとき私はここを見ていた」という心象を写せます。「この写真のここを見てほしい」という意図を表現できます。
本当は絞り開放(このレンズの場合はF1.4)が好きだし、シグマのレンズは超優秀で絞り開放でもクッキリ明瞭に写るから安心して絞り開放で撮影できるのですが、残念ながらキヤノンEOS 6Dというカメラは、最高シャッタースピードが1/4000秒。これ以上、速くできない。ということはこれ以上絞りを開けられない(開けると露出オーバーになってしまう)。なので今回はF2。「一段絞り」です。
その点、キヤノンEOS 5D系やEOS 1D系は最高シャッタースピードが1/8000秒。被写体が同じ明るさであれば、F1.4まで開けられます。こういうところにその差が現れます。でもカメラはできるだけ軽くて小さい方がいいとshio.iconは思っているので、この3系統の中では断然6Dが好き。
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「絞り」は被写界深度をコントロールする、と言われます。「被写界深度」とは、ピントがあって見える深さのこと。絞りを開ける(F値を小さくする)と被写界深度は浅く、絞りを絞る(F値を大きくする)と被写界深度が深くなります。
まず前提として、ピントが合うのは「面」。「点」ではなく「面」です。カメラの中にある撮像素子(センサー)と平行な平面にピントが合います。センサーからその面までの距離を近くしたり遠くしたりするのが、ピント合わせ。
カメラの前にヴァーチャルな板があるようなイメージです。shioはいつでもカメラの前にヴァーチャルな面が見えています。カメラをプロジェクターに例えると、映写スクリーンがピント面。そこまでの距離を伸ばしたり縮めたりするのがピント合わせです。AFでもMFでもやっていることは同じ。ピント面を前後させて、写したい被写体までの距離に合わせ、「合焦(がっしょう)」させます。
「面」であって「点」ではありませんから、写真の中の複数の被写体にピントが合った写真を撮ることもできます。なのでshio.iconは頻繁に、被写体の2ヶ所以上にピントの合った写真を撮影しています。面までの距離と面の角度をコントロールして複数の被写体にピントを合わせて撮影する空間的思考がとても楽しいのです。
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そしてshio.iconは、どんなに絞りを絞っても開けても、「被写界深度はゼロ」と考えて撮影しています。どんなに絞ったところで、ピントを合わせた「面」以外はピントは合っていない、と思っていますし、実際、合っていません。絞りを絞っていくと、そのピント面の前後(撮影者から見て手前と奥)に「ピントが合ってはいないけど合っているようにも見える」という空間(被写界)が広がってゆきます。その厚さを「被写界深度」と呼ぶのです。でも本当はピント面以外はピントは合っていない。
だから「被写界深度」なんて(原則として)考えません。「ゼロ」です。ピント面は面。厚みはない。1枚1枚、写したい被写体にピント面をきっちり合わせ、ジャストミート、するのです。shio.iconのほぼすべての写真はそうやって撮影しています。 ただし例外もあります。たとえば20名くらいの人が前後に折り重なっている集合写真を撮る場合、写したい被写体に奥行きがありますから、被写界深度の助けを借りる必要があります。被写界深度はピント面の手前側と奥側に、1:2の割合で深まりますので、集合写真の場合、最も手前の人から最も奥の人までの深さのうち、手前から1/3の位置にいる人にピントを合わせて、適切に絞りを絞れば、手前の人から奥の人まで(一応)ピントが合って見える写真を撮影できます。
そういう場合でも、本当にピントが合っているのは1枚の面ですから、撮影するときは(どんなに絞りを絞っていようとも)被写界深度ゼロと考えて撮影しています。つまり、被写体の中の誰かには、完璧にピントを合わせて撮影するのです。
それを誰にするかは撮影者のお好みで^^
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